クラシック音楽をもっと深く聴きたい。。。
クラシックなどの西洋音楽は上の写真の教会のようにキッチリと作られています。ですので、その構成を理解していると格段に面白くなります。その構成を意識して積極的に音を聴こうとするからです。
ここで紹介しているのは『ソナタ』で人気の高い Mozart Piano Sonata No 8 A minor K 310 を例に見て行こうと思います!
形式が分かるとクラシック音楽がもっと楽しくなる。ソナタをわかりやすく解説
ソナタ形式の構造
ソナタ形式の構造を簡単に説明します。ソナタは下の3つから構成されています。
アルファベットはドイツ語で、英語で絵で表すとこうです。
Development はドイツ語の Durchführung、Recapitulation が Reprise です。
なんとなく分ったところで、順番に中身を説明していこうと思います。
余談:ソナタ形式は実はボンヤリしている
ソナタ形式と言うのは古典派(クラシック)の時代によく用いられたのでソナタ形式と呼ばれました。それで色々なソナタを見ると、大体この形にはなっていますが多少違うものもあります。別に原則があったわけじゃないですからね。ですが、この構成を理解すれば基礎が分かるので『はあー。この作曲家はこうしたのね』なんて分かるようになって、ますます面白くなりますよ。
モーツアルト ピアノソナタ No 8 A minor K 310 でみる構成
ではここから実際どうなってるのか見て行きましょう!聴いたことがない方のために演奏の動画もあげておきます。モーツアルト!っていう曲ですね。
IMSLPでモーツアルトのソナタの楽譜を見てみよう
IMSLPというサイトがありまして、そこでは著作権の切れた作品の楽譜をダウンロード出来ます。楽器が弾けなくても、楽譜を目で追っていくだけでも面白いですよ。
Exposition(提示部)
ここでその曲の重要なテーマが演奏される曲の顔のような部分です。この提示部も細かく分けられます。
- 第1主題/ Hauptsatz(最初のテーマ)
- 橋渡し/ Überleitung
- 第2主題/ Seitensatz(二個目のテーマ)
- 終結部/ Schlusssatz(締め)
重要なのは第1,2主題です。実際に楽譜を見ながら見て行きましょう!ちなみに横のアルファベットはドイツ語です。
第1主題/ Hauptsatz(最初のテーマ)1-9小節
始まる音楽の最初の Thema (主題)を提示する重要な場面です。
ここで鳴らされた音楽が発展し形づくられるので最も重要な場面といえます。この部分を第1主題/ Hauptsatzといい、主調(トニック)で始まります。この場合は a-moll (Aマイナー、イ短調 )です。
Überleitung(橋渡し)9-22小節
続くは最初のテーマが少しだけ形を変えて表れます。
少し音が変わったりしていますが、全体を通す雰囲気は変わっていないです。
第2主題/ Seitensatz(二個目のテーマ)22-45小節
それに続き、第2主題が現れます。これは転調して現れます。よくあるのが5度上のキー(トニックがCだった場合、G)ですね。曲のキーがマイナーだった場合、平行調 (a-minor だったらC- major) で現れたりします。この曲もそうですね。
またこのテーマは最初のテーマと対照的であることが多いです。最初のテーマのリズムがゆったりしていたら、こちらは小刻みにとかです。この曲がまさしくそうです。
ここで曲の雰囲気が明るくなったのが分かるのではないしょうか?
動画52秒から
終結部(codetta)/ Schlusssatz(三個目のテーマ)45-49小節
そして、最後に終結部が現れ、Expositionの終わりを聴き手に暗示させます。
Exposition はもう一度最初から繰り返され、次へ移行します。
展開部(Durchführung)50-79小節
ここは展開部ということで、名の通り Exposition で使った第1主題や第2主題を使い展開させます。
つまり、組み合わせたり、一部だけ使ったり、逆から演奏したりですね。そして調性はガラッと変化します。ここの長さは大体 Exposotion と同じ程度で、この間に作曲家の創造性が爆発します。
動画はちょうど展開部からはじまります。動画3分15秒から
Reprise(再現部)80-133小節
まとめ
このようにざっと見てきましたが、これがソナタ形式の構造です。
作曲家、アーティストはいつの時代も挑戦的です。上にも書いたように『ソナタ』でも時代により構成が違ったりしています。しかし、この基本をもとに考えればより理解しやすいと思います。
曲は続いて2楽章に入りますが、紹介したモーツアルト ピアノソナタ No 8 は次も同じソナタ形式で書かれていて、3楽章が『ロンドソナタ形式』になっています。その説明はここではしませんが、もし興味があったら色々な形式を調べると面白いですよ。
例えばこの本とかは判りやすいのでおすすめです。では♪