FMシンセサイザーの構造
80年代サウンドといわれるFMシンセサウンド。
最近では、Korg から Volca FM が出たり、YAMAHAも reface DX を出したりとまた盛り上がりを見せています。
よくFMシンセは音作りが難しいと言いますが、実際どうなのでしょうか。その構造について簡単に説明しています。下にFMシンセの音作りについて書かれている本を紹介しているので、本格的に音作りに挑戦したかったらおすすめです。
シンセサイザー系の用語を何も知らなかったら、こちらのページを開いておくと便利です。
フリープラグイン『DEXED(ディクシード)』
ただ読んでいくより実際にいじった方が分かると思いますので、DAWソフトを持っていたらフリープラグイン『DEXED(ディクシード)』をダウンロードして実際に使いながら見ていきましょう。
DEXEDは 名機 FMシンセサイザーYAMAHA DX7を再現したフリープラグインです。
ダウンロードはこちら
DX7 などの音色を Dexed に読み込み方法
読み込んだファイルを Dexed を通してvolca fm に読み込む方法はこちら。
ハードのFMシンセはこちらで紹介しています。
FMシンセの音
マイケル・ジャクソンです。
デジタルベースがDX7。
かの名映画『Top Gun』の音楽に使われています。見たことない人はすぐ見ないと!
これも、ベースサウンドがDX7です。
他の例はこのサイトで紹介してます。興味があれば。
まずは動画で
英語ですが、わかりやすく説明しています。
これでなんとなく理解してから下の文を流し読みしたら、すぐ解ります。
FMシンセの『FM』とは?
FM音源のFMとは、Frequency Modulation(周波数変調)の略で、FMラジオのFMと同じものです。
周波数についてはこちら。
一行で説明
いちいち読むのが面倒な方のために一行で説明すると、
キャリアが最終的に音が出る音源で、それを他のオペレータ(モジュレータ)で音をくすぐり、音色を変えるという構造です。
下ではもう少し詳しく説明します。
オペレータとその構造
オペレータとは、正弦波を出す単純な発振器
正弦波(サインウェーブ)は、純音とも呼ばれこの音は自然界にはなく、音叉音、電子音しかありません。
ピーとかポーっていう音ですね。
オペレータの構造
PG=フェイズ・ジェネレータ ー スピードを変える
SWM=サイン・ウェーブ・メモリー(波形メモリ) - 音源
EG=エンベロープ・ジェネレータ - Attack, Decay, Sustain, Release
という3つの要素で構成されています。
これらで音を高くしたり、立ち上がりを遅くしたり出来ますが、音色自体は変わりません。
オペレーターは沢山ある
このオペレータはFMシンセに何個か搭載されており、シンセにより搭載されてる数が違います。
DX7 – 6オペレーター
reface DX – 4オペレーター
volca fm – 6オペレーター
モジュレータとキャリア
それでどのように音を変えるのかと言うと、オペレーターを繋げ、次のオペレーターの波形に影響を与えることで、音色を変えます。シンセサイザーがわかる本 予備知識から歴史、方式、音の作り方まで というシンセの構造について書かれてる良書があるんですが、その中ではこのように説明しています。
例えば、紙にペンでサイン波を書くとしよう。その時、もう1人にペンを持っている手を邪魔してもらうのだ。すると波形は崩れて書かれるだろう。この変化した波形がFMで合成された波形で、音にすれば倍音を含んだ音色になっているわけだ。
そして、
変える方をモジュレータ
変えられる方をキャリア
と言います。
実際に音を出す(波形を描く)のは最後のキャリアのみで、モジュレータは波形を変化させる(書いてるて役割になります。
組み合わせを作るアルゴリズム
そのオペレータは複数あると書きました。
それぞれのオペレータは違った波形を出しているので、その組み合わせで当然ながら音の変化は変わります。
コンパクトエフェクターでも繋ぎ方で音変わりますよね。
それを踏まえてDEXEDを見てみると、1~6まで番号のついたオペレーターが並んでます。
RATIO(レシオ)を変える
次にキャリアに対するモジュレータのレシオ(影響を与える割合)を変えることで、さらに音が変わります。
1:1 で設定するとノコギリ波っぽいサウンド
1:2 で矩形波っぽいサウンド
1:3 で設定するとパルス波っぽいサウンド
1:3.5 で設定すると落ち着いた金属倍音(この際、エンベロープのリリースはモジュレータだけじゃなく、キャリアも長くすることで、鐘の余韻が出てきます)
アナログシンセとはまったく違う、“誰でもわかるFM音源”講座から引用
DX7のパッチをダウンロードしてDEXEDで使う
最初にも紹介しましたが、YAMAHA DX7のパッチをDEXEDで使うことができます。
また、DEXEDに読み込んだパッチから volca fm を繋げば、DX7のサウンドが volca fm から出せます。
まとめ
FMシンセの簡単な構造をまとめてみました!
たしかに、狙った音を出すのはだいぶ経験値が必要ですね。
でもFMシンセの音は独特で他では出せない音です。
ハードのFMシンセはこちらで紹介しています。
さらに深くFMシンセについて知りたい方はこの本をおすすめします。
こちらの本は色々なシンセの構造が書かれてますが、FMシンセについても書かれているめっちゃくちゃいい本です。ただ具体的な音の作り方は書かれていません。