ここで紹介する本は、Thesaurus of Scales and Melodic Patterns と言う本で、この本はジョン・コルトレーンやフランク・ザッパなど多くのミュージシャンに影響を与えました。
それで、その中身はどんなのかというと機能和声(コード進行)を頼りにして導かれる一般的なメロディーでなく、12音の中で規則性を持たせた(幾何学的な)色々なパターンの楽譜が載っています。なので、現代音楽的な内容です。
幾何学的なメロディーのアイデアを集めた本
Thesaurus of Scales and Melodic Patterns
著者ニコラス・スロニムスキー/Nicolas Slonimsky の音楽
著者のニコラス・スロニムスキーは作曲家、指揮者、評論家でした。この本が出版されたのが1947年で、当時から現代音楽家のサポートなどもしていました。セルゲイ・クセヴィツキーの助手としてボストン交響楽団に勤めてたこともあるみたいですね。そんなスロニムスキーの音楽を聴いてみましょう。
Thesaurus of Scales and Melodic Patternsの内容
その内容はこんな感じです。上の楽譜の場合 C を起点として、12音の丁度半分の F# を軸にして色々なパターンが載っています。次は1/3に十二音を割って、とこの感じで次から次へと色々な音型がひたすら載っています。他にも12音音楽やバイトーナル(復調)などなど、色々と載っているので辞書というかアイデアを得るのにいい本です。楽器の練習でも普通に練習していたら出会わないような音型に出会うので、色々なアイデアが得られます。
また、そのメロディーにコードを付けるとしたらこんなパターンがあるよね。みたいなのも書かれています。写真は僕の本を撮ったものですが、楽譜の間に番号が書いてあります。それが対応するコードになります。本の最初に説明書きが書いてあるのですが英語です。英語が読めなくても、ある程度音楽理論がわかる人であれば理解できる内容です。
ギタリストのための Thesaurus of Scales and Melodic Patterns
ギター用に編集された本も出版されています。ギタリストのBen Monderも多分この本からアイデアを得てますね。でも多分ですよ。Ben Monder はジャズギターで独自路線を行ってる人で超かっこいいので是非チェックしてみて下さい。
ギター用に編集されたものは友人が持っていて見せてもらいましたが、上で紹介したものよりページ数が少なく、かつ対応するコードも番号でなくC7などの実際のコード表記になっていますので、大分見やすいです。
ジャズミュージシャン向けのThesaurus of Scales and Melodic Patterns『Repository of Scales and Melodic Patterns』
ここで紹介しているThesaurus of Scales and Melodic Patternsと似ているけど、もっとジャズなどの演奏に役立つ本。兄弟のような本『Repository of Scales and Melodic Patterns』です。名前も似てますね。
上の絵はコルトレーンの描いたもので、その最初のページに書かれているものです。この本については別記事で。
ニコラス・スロニムスキーのほかの本クラシック名曲「酷評」事典
最初に書いたようにニコラス・スロニムスキーは作曲家、指揮者、評論家でした。そんな彼が出版した本でクラシック音楽の酷評を集めた本があります。今は大作曲家とよばれている人たちも発表当時はこき下ろされていたりしてたのが読めます。