FMシンセサイザーの構造
80年代サウンドといわれるFMシンセサウンド。
最近では、Korg から Volca FM が出たり、YAMAHAも reface DX を出したりとまた盛り上がりを見せています。
よくFMシンセは音作りが難しいと言いますが、実際どうなのでしょうか。その構造について簡単に説明しています。下にFMシンセの音作りについて書かれている本を紹介しているので、本格的に音作りに挑戦したかったらおすすめです。
シンセサイザー系の用語を何も知らなかったら、こちらのページを開いておくと便利です。
![](https://composition.space/wp-content/uploads/2019/05/abstract-2099064_640-160x90.png)
フリープラグイン『DEXED(ディクシード)』
ただ読んでいくより実際にいじった方が分かると思いますので、DAWソフトを持っていたらフリープラグイン『DEXED(ディクシード)』をダウンロードして実際に使いながら見ていきましょう。
DEXEDは 名機 FMシンセサイザーYAMAHA DX7を再現したフリープラグインです。
ダウンロードはこちら
DX7 などの音色を Dexed に読み込み方法
読み込んだファイルを Dexed を通してvolca fm に読み込む方法はこちら。
![](https://composition.space/wp-content/uploads/2019/05/dexed-to-volca-fm-160x90.jpg)
ハードのFMシンセはこちらで紹介しています。
![](https://composition.space/wp-content/uploads/2019/06/yamaha_modx7k-160x90.jpg)
FMシンセの音
マイケル・ジャクソンです。
デジタルベースがDX7。
かの名映画『Top Gun』の音楽に使われています。見たことない人はすぐ見ないと!
これも、ベースサウンドがDX7です。
他の例はこのサイトで紹介してます。興味があれば。
まずは動画で
英語ですが、わかりやすく説明しています。
これでなんとなく理解してから下の文を流し読みしたら、すぐ解ります。
FMシンセの『FM』とは?
FM音源のFMとは、Frequency Modulation(周波数変調)の略で、FMラジオのFMと同じものです。
周波数についてはこちら。
![](https://composition.space/wp-content/uploads/2019/05/rainbow-509500_640-160x90.jpg)
一行で説明
いちいち読むのが面倒な方のために一行で説明すると、
キャリアが最終的に音が出る音源で、それを他のオペレータ(モジュレータ)で音をくすぐり、音色を変えるという構造です。
下ではもう少し詳しく説明します。
オペレータとその構造
オペレータとは、正弦波を出す単純な発振器
正弦波(サインウェーブ)は、純音とも呼ばれこの音は自然界にはなく、音叉音、電子音しかありません。
ピーとかポーっていう音ですね。
オペレータの構造
PG=フェイズ・ジェネレータ ー スピードを変える
SWM=サイン・ウェーブ・メモリー(波形メモリ) - 音源
EG=エンベロープ・ジェネレータ - Attack, Decay, Sustain, Release
という3つの要素で構成されています。
これらで音を高くしたり、立ち上がりを遅くしたり出来ますが、音色自体は変わりません。
オペレーターは沢山ある
このオペレータはFMシンセに何個か搭載されており、シンセにより搭載されてる数が違います。
DX7 – 6オペレーター
reface DX – 4オペレーター
volca fm – 6オペレーター
モジュレータとキャリア
それでどのように音を変えるのかと言うと、オペレーターを繋げ、次のオペレーターの波形に影響を与えることで、音色を変えます。シンセサイザーがわかる本 予備知識から歴史、方式、音の作り方まで というシンセの構造について書かれてる良書があるんですが、その中ではこのように説明しています。
例えば、紙にペンでサイン波を書くとしよう。その時、もう1人にペンを持っている手を邪魔してもらうのだ。すると波形は崩れて書かれるだろう。この変化した波形がFMで合成された波形で、音にすれば倍音を含んだ音色になっているわけだ。
そして、
変える方をモジュレータ
変えられる方をキャリア
と言います。
実際に音を出す(波形を描く)のは最後のキャリアのみで、モジュレータは波形を変化させる(書いてるて役割になります。
組み合わせを作るアルゴリズム
そのオペレータは複数あると書きました。
それぞれのオペレータは違った波形を出しているので、その組み合わせで当然ながら音の変化は変わります。
コンパクトエフェクターでも繋ぎ方で音変わりますよね。
それを踏まえてDEXEDを見てみると、1~6まで番号のついたオペレーターが並んでます。
RATIO(レシオ)を変える
次にキャリアに対するモジュレータのレシオ(影響を与える割合)を変えることで、さらに音が変わります。
1:1 で設定するとノコギリ波っぽいサウンド
1:2 で矩形波っぽいサウンド
1:3 で設定するとパルス波っぽいサウンド
1:3.5 で設定すると落ち着いた金属倍音(この際、エンベロープのリリースはモジュレータだけじゃなく、キャリアも長くすることで、鐘の余韻が出てきます)
アナログシンセとはまったく違う、“誰でもわかるFM音源”講座から引用
DX7のパッチをダウンロードしてDEXEDで使う
最初にも紹介しましたが、YAMAHA DX7のパッチをDEXEDで使うことができます。
また、DEXEDに読み込んだパッチから volca fm を繋げば、DX7のサウンドが volca fm から出せます。
![](https://composition.space/wp-content/uploads/2019/05/dexed-to-volca-fm-160x90.jpg)
まとめ
FMシンセの簡単な構造をまとめてみました!
たしかに、狙った音を出すのはだいぶ経験値が必要ですね。
でもFMシンセの音は独特で他では出せない音です。
ハードのFMシンセはこちらで紹介しています。
![](https://composition.space/wp-content/uploads/2019/06/yamaha_modx7k-160x90.jpg)
さらに深くFMシンセについて知りたい方はこの本をおすすめします。
こちらの本は色々なシンセの構造が書かれてますが、FMシンセについても書かれているめっちゃくちゃいい本です。ただ具体的な音の作り方は書かれていません。