一口にクラシック音楽と言いますが、実はクラシックはヨーロッパの音楽の一時代の音楽でしかないです。ここでは西洋音楽の歴史を重要な人物、出来事に沿ってズバッと見ていきます。
まず第1回は石器時代から、グレゴリオ聖歌まで!
この時代は当然ながら『クラシック』ではありませんが、ここで紹介するグレゴリオ聖歌が私たちの知っているクラシックの源流と言われています。
ここでは本やいくつかの資料をもとに書いていきます。
この本はその名の通り西洋音楽の歴史をザーッと追っていく本です。
さすがに細部までは無理ですが、けっして浅く追っていくわけではなく、時代時代の音楽の重要な点を、時代背景なども含めて書いています。すごく面白いのでおすすめです。
ヨーロッパの音楽の時代別の呼称はこちら。
【最古の音楽~グレゴリオ聖歌】クラシック(西洋音楽)の歴史を重要な人物や音楽と共に紹介
音楽の始まりから中世以前
音楽は人類の歴史とともにあります。
最初は石を叩いたり、なんとなく声を出すようなものだったものが文化と共に成長し、世界中でそれぞれの民族にそれぞれの音楽が生まれました。
まだ神と言う概念がなかった時代であれば、おそらく音楽は自然に捧げるものだったと思います。
狩りがうまくいくようにや豊作を音楽を通して願う、捧げる。つまり呪術としての音楽ですね。
もしくは遠くへの連絡手段として使ったものもあります。
この写真のフルートはドイツのシュヴァーベンジュラ山脈で発見されました。この楽器が今発見されている中で最古のものだそうです。
ここで問題です。このフルートは何年前のものだと思いますか?
なんと42,000年から43,000年前のものだそうです。。。。
音楽は無くても死にませんが、それでも人間にとって根本的に重要なものなんですね。
ちなみに世界最古の楽器はこちらでもう少し詳しく紹介しています。
ヨーロッパ中世時代の音楽
その後、上の世界最古の楽器を見てもらっても分かるとおり、約40,000年も前から楽器があり、ヨーロッパの各地で音楽の演奏はされていました。
そして中世になると今の西洋音楽の原型のようなものが出来てきました。この中世の音楽を中世西洋音楽/ Medieval music と言います。西洋音楽でも『クラシック』とは呼びません。
ちなみにこの『中世ヨーロッパ』っていつ?と思うと思うのですが、大分長い。。。
中世前期が西暦400年位からで、後期が1500年位。。。1100年間。。。
中世前期(ちゅうせいぜんき)は、ヨーロッパ史において、おおよそ5世紀から10世紀を指す時代区分である。中世の初期。このほか3世紀から7世紀にかけてを古代末期とする時代区分もある。
中世 - Wikipedia
中世ヨーロッパを想像してみよう
この中世ヨーロッパに心惹かれる人は多いのではないでしょうか?
僕もその一人です。参考までにいくつかの写真を見てみましょう!
ベルセルク
僕がまず想像してしまうのが、ファンタジーですが、ベルセルクの世界。
黄金時代がずっと続いて欲しかった。。。
中世の過酷な生活
ナイトかっこいい!~!!
道もガタガタだろうし、その中をこれで運ぶの大変だろうなあ。。。
魔女狩りも中世です。
ペストが大流行したのも中世です。
というように、私たちが想像するようなファンタジーはなく、非常に過酷な生活です。
参考例として挙げれば知のビジュアル百科・中世ヨーロッパ入門によれば、1300年頃(中世後期)の農民は25歳までしか生きられなかったようです。
険しすぎる。。。。
日本はその頃。。。
その頃の日本の歴史を見てみると、
242年~248年 卑弥呼が亡くなる。
552年(538年説もあり) 【仏教伝来】(百済から公式に伝わる)
1560年 織田信長が今川義元を討つ(桶狭間の戦い)
ちなみにヨーロッパの中世と日本の中世は違います。
鎌倉幕府の成立(1192年)から室町幕府の滅亡(1573年)まで、すなわち鎌倉時代と室町時代(戦国時代まで含む)を合わせたおよそ4世紀の期間を中世と定義するのが一般的であった。
南北朝時代を挟んで中世前期・中世後期に区分される。
Wikiより
それで話が音楽からドンドン逸れますが、オリラジの中田さんのチャンネルすごく面白いですよ!
ここでは日本の歴史を原始時代から飛鳥時代(592~710年)まで追ってます。こういう世界と日本の文化を比べるとまた面白いです。
楽譜、グレゴリオ聖歌の誕生
ここからは実際に音楽を聴きながら、見て行きましょう!
このような時代背景を理解してもらって(日本は置いておいて)、話はまた音楽に戻ります。
このように、飢饉や悪魔、魔女狩りが信じられていた時代なんです。そんな中人々は何に救いを求めるのか?キリストですね。
そのキリスト教の歴史と共に西洋音楽は発展します。音楽は宗教とガッチリ結びついていたのです。最初の聖歌は歌って伝えられました。つまりまだ楽譜というものがなかったのです。
それと、この時代はまだ字を書いたり読んだり出来る人は、一部のエリートのみでした。
ここらへんのヨーロッパの歴史も中田さんのチャンネル見ると面白く理解出来ます。なんか薦めすぎですが、面白いんですよ。このチャンネル。
グレゴリオ聖歌とは
グレゴリオ聖歌は単旋律で無伴奏の宗教音楽です。
9世紀から10世紀にかけて、西欧から中欧のフランク人の居住地域で発展し、後に改変を受けながら伝承しました。
カトリック教会のローマ典礼の為の単旋律の聖歌で、主にラテン語、一部にギリシャ語やヘブライ語も使われています。ちなみにラテン語は今は『死語』で実際には使われていません。
なんで「グレゴリオ聖歌」と呼ばれるのか
なぜ「グレゴリオ聖歌」と呼ばれるのかですが、それは7世紀初頭の教皇グレゴリウス1世(590~604在位)が、各地で歌われていた聖歌を1つに編纂したことにちなんで、名付けられたからだと言われています。
でもその話は伝説に近いようですね。
テキストが重要
そしてグレゴリオ聖歌で重要なのは言葉、テキストです。その大部分はラテン語聖書からなる典礼文を歌詞としています。
上にも書きましたが初期は楽譜が無く、口頭伝承でしたが9世紀頃に『ネウマ譜』が考え出されました。
ネウマ譜
9世紀頃のネウマ譜は音高などが書かれていないものでした(写真上)。
なんといってもテキストが大事で、その上のピッピッとついているもので、なーんとなくの歌い方を書いています。
このネウマ譜が11世紀に、横線があり音高の見やすくなった譜線ネウマが出始め(写真の赤の線)、現代でも用いられる五線譜に発展したそうです。この楽譜で歌ったら何か召喚しそうと思った人は素直に手を挙げましょう。
ちなみにこの頃に、今の『ドレミ』という考え方、ソルフェージュも考えられました。
音楽は単旋律から複旋律へ
9世紀後期または10世紀初期の大きな出来事の1つに『ムジカ・エンキリアディス』という音楽理論書が出ました。
その中にオルガヌムと呼ばれる複旋律が書かれています(写真上の2本の線)。
グレゴリオ聖歌の美しさに囚われ、もっと勉強したい方は洗足学園音楽大学のこのサイトおすすめです。
ネウマ譜の読み方
英語のサイトですが、ネウマ譜の読み方を解説しているサイトがありました。
本 西洋音楽史の中では『中世芸術音楽史はほとんどもっぱらグレゴリオ聖歌を軸にして発展していった』とあります。
つまりグレゴリオ聖歌が後につながる西洋音楽に直接つながる1番最後のルーツだと言うことです。
中世以前の音楽
もちろん中世以前にも音楽はありました。
その時代の音楽を古代西洋音楽と呼びます。
また、大きな括りで呼ぶと古典派(クラシック音楽/ music in the classical period)の前までを
古楽 と呼びます。
グレゴリオ聖歌と現代の作曲家 Arvo Pärt (アルヴォ・ペルト)
現代音楽作曲家 Arvo Pärt はグレゴリオ聖歌に影響された Tintinnabuli(ティンティナブリ)というスタイルの音楽を作曲しました。
単純ながら心の奥まで響く音で、大好きな音楽の1つです。
まとめ
ということでグレゴリオ聖歌まで、簡単に説明しました。
ここらへんの話はわずかな資料からの推測も多いので、まだ色々議論されています。
個人的にはグレゴリオ聖歌の神聖な空気感が大好きです。もし興味があれば専門書などを読み漁ってみたら、新たな発見があると思います。
そして次は音楽が更なる発展を遂げるパリのお話です!!