作曲や楽器でソロを弾く場合、晴れ渡った雰囲気をだしたいとか、怪しい雰囲気、オリエンタルな感じを出したいなどあると思います。
じつは、簡単にその雰囲気を出せる方法『スケール』というものがあるんです。ここでは曲の雰囲気を司る色々なスケールを紹介します。
スケールというのは、音の配列の並び方で、それぞれのスケールは各々の表情を持っています。
そのスケールをうまく活用することで曲の雰囲気(暗い、民族的、アジア風など)を作り出せるという非常に便利なものです。ぜひ活用してみて下さい。
・色々なスケールの紹介
スケールを使って曲に世界観をつくろう
スケールは音の配列
スケールと言うのは音の配列のことです。音の並び方です。
下の楽譜は学校で習う基本のドレミファソラシドです。手元に鍵盤があれば見てもらいたいのですが、C からドレミファソラシド(白鍵のみ)と弾いていった場合音の並びは、
となる事が分ると思います。(全は全音、半は半音の意味です。)
このような音の配列をスケールと呼びます。そして、このドレミファソラシドのことを 『アイオニアン・スケール/ Ionian scale (メジャースケール)』と呼びます。
そして C の音が基音になっているので、『C アイオニアン・スケール』と言います。
この音の並びでEから始めると、『E アイオニアン・スケール』です。Eから始まっていますが、音の配列が(全音、半音といった)同じであることが分かると思います。
もし、Key(キー、調性)についてよく知らなかったらこちらの記事も読んでみて下さい。スケールを知る前に勉強しておくと分かりやすいです。
同じ音を使っていても弾き始める場所で音列は変わる
次に ラ(A)の音から白鍵のみを使って弾いてみます。そうすると音の並びが下のようになります。
すると、使っている音は一緒ですが、さっきと違って暗い雰囲気がしませんか?
このスケール(音の配列)のことを『エオリアン・スケール/ Aeolian scale (ナチュラル・マイナー・スケール)』と呼びます。この場合は A が基音になってるので A エオリアン・スケール です。
このように音の並び方で得られる印象が違います。スケールの概要が分ったところで、色々なスケールを紹介していきます。
教会旋法(チャーチモード)
まず最初に紹介するのが教会旋法です。これがこれから登場する色々なスケールの基準になります。
なぜ教会旋法というかというと、昔の教会音楽から来ている音階だからです。チャーチは英語で教会の意味です。
チャーチモードの7つのスケール
最初に説明したようにCから始まるスケールを『C アイオニアン・スケール』、もしくはメジャースケールと言います。
D(レ)から弾き始めるとまた音列(全音、半音の並び)は変わりますね?
そしてこのD(レ)から弾き始めた音階を Dドリアン と呼びます。そのようにE、F、G、A、Bとやっていくとそれぞれにスケールがあることが分かります。それは以下のようになります。
1度:Cアイオニアン(Cメジャースケール)
2度:Dドリアン
3度:Eフリジアン
4度:Fリディアン
5度:Gミクソリディアン
6度:Aエオリアン(Aマイナースケール)
7度:Bロクリアン
合計7個です!この7つは頭を整理すればすぐ覚えられます。その方法はこちら。
4種類のジプシースケール
ジプシースケールにいたっては、インターネット上でも情報が錯綜しているので、みんなの知識 Wikipedia ということでそちらを参照にしていきます。
☆ ジプシーメジャースケール、ビザティンスケール、アラビックスケール、ダブルハーモニックスケール
たくさん名前がありますが、この音の並びです。
特徴は一度 (C)から始めた並びと、五度(G)から始めた並びが一緒です。
このスケールを使って作曲してみました。この曲の作り方はこちらの記事に書いてあります。
ピアノがあれば左手で C→G →C →G って弾きながら、右手でこのスケールを使ってメロディーを弾いてみましょう。あなたのいる場所がエジプトになったはずです 😎
☆ ジプシーマイナースケール、ハンガリアンマイナスケール、ダブルハーモニックマイナースケール
☆ ハンガリアンスケール、ハンガリアンジプシースケール
☆ フリジアンドミナントスケール
どれも、民族的な香りのするスケールでゲーム音楽などによく出てきますね。
ホールトーンスケール
作曲家の Debussy が最初に用いたスケールで、特徴は音の並びが全て全音です。
そうするとオクターブの中に納まる音符は6個だけ、そして4,5,6度の音がシャープになります。
楽器で C から弾いてみると分りますが、F♯ からふわっとした感じがするのではないでしょうか。また、このスケールは移調しようとすると、並びが全て全音なのでもう一種類、C から弾くか、Dbから弾くかしかありません。
上の並びが ホールトーンスケール(whole tone scale)です。ホールトーンスケールを使って曲を作ってみました。
このスケールを扱った記事があるので、興味があれば読んでみてください。
オルタードスケール
オルタードスケールはホールトーンスケールと似ていますが、9th(2度)の部分が違います。
このスケールはジャズで多用されます。詳しくはこちらの記事で構成音、練習方法などを書いています。
Repository of Scales and Melodic Patterns/スケールとメロディーパターンの宝庫という本
スケールの紹介の途中ですが世界中のスケールが載ってる面白い本を紹介します。
日本の音階
日本の音階を紹介します。この構成音で適当に弾いてみると、『ああ、知っている』っていうメロディーが勝手に出来てくると思います。
音符に白丸と黒丸があると思いますが、これは『核音』といいます。アジアの音楽はヨーロッパの音楽と違いあいまいな部分が非常に多いです。そのことについての説明は現在執筆中です。
もしそのことを学びたいのであればこの本をおすすめします。著者の小泉文夫さんは音楽家ではないのですが、世界の民族音楽を研究した第一人者です。また、かの坂本龍一さんは大学で小泉さんの講義を聴き衝撃を受けたそうです。
たしかに、アルバム『千のナイフ』は西洋とアジアと電子音楽が混じったアルバムです。その影響もあると思います。僕が好きなアルバムTop 10 に入る名盤です。
書いてある内容も非常に興味深く、あなたの世界を広げる為に読んでみてはいかがでしょうか?
琉球音階(りゅうきゅうおんかい)、沖縄音階
この音階で弾くと島唄を歌いたくなるはずです。いい曲ですよね~。
雲井音階
マイナースケールの4、7度がないスケールです。
4と7がない=ヨ(4)ナ(7)がない。ということでヨナ抜き短音階とも呼ばれます。後ほど紹介するメジャーペンタトニックスケールをヨナ抜き長音階と呼びます。
岩戸音階
都節音階
民謡音階
律音階
雅楽などで使われる音階です。3度が無いというか上がってるので、西洋音楽っぽさがなく、アジアな雰囲気になります。
ペンタトニックスケール
ペンタトニックのペンタ(Penta)は5を意味する言葉です。つまり、5個の音で構成されています。
上の日本の音階も5個で構成されたペンタトニックスケールですね。
メジャーペンタトニックスケール
この音階はひじょーーーに色々なところで聴きます。中国の音楽もそうですし、アイルランドの音楽もまあ、ホント良く聴きます。またこのスケールは4度と7度がないためヨナ抜き長音階とも呼ばれます。
最初にギターとかでソロ弾こうとしたら、最初にすすめられるのもメジャーペンタです。ギターやベースだと特に弾きやすいスケールなんです。
マイナーペンタトニック
これも同じく良く使われる音階です。
ブルーノートスケール(ブルーススケール)
ブルースな感じを出したいと思ったらこのスケールです。
まとめ
以上、主なスケールの紹介でした!知ってる曲のメロディーを違うスケールに変えて色々遊ぶうちに、世界観が掴めて来ますよ。
でも、そのうち『スケールやだな。。。』ってなります。なぜなら世界観が決まってしまうからですね。なので2つのスケールを合体させてみたり、ある規則性を自分で作り出して、スケールを作ってしまうのもありです。
音楽は自由にいきましょう♪